図書館職員のおすすめ

【2月のおすすめ本】

yorunogawanitatsu

「夜の側に立つ」


小野寺 史宜/著
新潮社

2006年「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール読物新賞を受賞。
2008年「ROKER」で第3回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し作家デビュー。
2019年本屋大賞に前作「ひと」がノミネート。
「夜の側(がわ)に立つ」は20作品目となります。

高校3年生でバンドを組んだ5人。
主人公・野本了治、生徒会長・榊信明、副会長・荻原昌子、元バスケ部員・辰巳壮介、吹奏楽部の花形・小出君香。
それぞれスター性を持った男女が集まったバンドでした。
学園ではそれまで、ライブの開催はできなかったのですが、信明の先生への説得で初めて許可されました。

主人公の了治の40代を軸に、現在と過去を行ったり来たりしながら話が展開されているのが特徴的になっていると思います。
39歳の悲しい出来事から始まり、すぐに18歳へと話が転回していくので読みにくいのかと思ったら、現在と過去を行ったり来たりしながらすんなりと話に引き込まれていきます。

了治は、ずっと好きだったメンバーの君香から突然告白されたのに、「自信がない」と断ってしまいます。
お互いにスター性を認めているのに、どうしてそこまで自己評価が低いのか分かる場面もかなり衝撃的です。

了治が過ごしてきたその年代のエピソードに共感するところもあり、登場人物が複雑な絡み合いをしていて想像できない展開にハラハラ、ドキドキします。
青春を忘れかけている年代の人におすすめの1冊です。


satouhatsumemonogatari

「佐藤初女物語‐おむすびに心をこめて‐」


あんず ゆき/著
PHP研究所

おむすびは、みんなを笑顔にする!
食べることの大切さに気づき、おむすびを通して悩める人たちの心を開いていった佐藤初女さん。
本の冒頭に「ごはんひとつぶ、ひとつぶが呼吸できるように、むすんでくださいね」とあります。初女さんがおむすびをむすぶときに一番大切にしていたことだそうです。
お米にも野菜にもいのちがあると考えていました。初女さんの真心が伝わってくると思いました。
そして、初女さんはご主人から「鉄は鉄で磨かれる。人は人で磨かれる。人の中に出ないと成長しないからどんどん出たらいいんだよ。」この励ましのお蔭で初女さんは、ろうけつ染めを習い始め、自宅で工房を開きます。
たくさんの人が、自宅に集まり始め、まわりの人の相談にのったり、食べ物を分け与えたりしました。
初女さんは、敬虔なカトリック信者ですが、信仰を勧めるわけでなく、~たとえば山の頂上を目指す時、道はいくつもある。どの道を選ぶのかは人それぞれで、信仰もそれと同じ~だと思っていました。そして「苦しいときはとどまらず、動きなさい」初女さんはよくそう言いました。
そして、「どうしよう、どうしようと思うときは待つことです。あわてないで物事をしっかり見ていると、ちゃんと道が開けてきます。あなたがいる場所であなたができることをしてください。」
そんな初女さんは、2016年(平成28年)2月1日、94歳でこの世を去る日まで、生涯を社会の人々に奉仕の心を持って仕え、人のことを思って生き抜いた女性でした。
この本は、「佐藤初女」その生涯を写真も交えてやさしく紹介してあります。児童書ですが大人の方にも読んで欲しい、とても優しい気持ちにしてくれる一冊です。


zerotore

「ゼロトレ」


石村 友見/著
サンマーク出版

最近、メディアでも話題の本です。
加齢とともに首、肩、背中、腰、足指などは縮んだり、ゆがんだりしながら関節や筋肉がカチコチにかたまり本来の動きができなくなります。
こうして体は老化し、太りやすくなるそうです。
思い当たる点が、おおいにあって、納得できますよね。
「ゼロトレ」は、各部位が本来あるべき元のポジション(本書では「ゼロポジション」と言っています)に戻すことで、体形をよくし、体重を減らし、不調までも改善していく、画期的なダイエット法ということです。
その場で、寝た姿勢でできるため、何歳からでもできます。
実際にダイエットに成功できたら、万々歳ですね。少し丸くなってきていた背中や、
伸びにくかった腰が伸びて、姿勢が良くなるだけでも、印象が変わります。
私も少しチャレンジしてみました。ダイエットは?ですが、真上に真っ直ぐ伸びなかった両腕が、伸びるようになり肩甲骨が柔らかくなった気がします。
「ゼロトレ」のやり方が、写真でわかりやすく解説してあり、身長を一瞬で伸ばすゼロトレも紹介されています。「羽が生えたように軽くなる」という、この「ゼロトレ」一度読んでみませんか?


haruttedonnamono

「はるって、どんなもの?」


あさの ますみ/作 荒井 良二/絵
小学館

この絵本の絵のかわいさに思わず手に取りました。また、荒井良二さんの作品ということもあって、とても興味が湧きました。
この絵本に出てくる小さな女の子「エリちゃん」。エリちゃんは黄色いボタンが5つついた毛糸のカーディガンがお気に入り。黄色いボタンの5人きょうだいは、冬の時期しか出番がないため、「はる」がどんなものなのかわかりません。冬の寒いある日、エリちゃんが『もうすぐはるだね。』と言います。そこで、黄色いボタンの5人きょうだいは「はる」がどんなものなのか考えます。「はるって、温かいカーディガンのことかな?」「はるっておいしい匂いがするホットケーキかな?」と、色んな意見を出し合いますが、それでも「はる」がどんなものなのか、わかりません。「はるって、どんなもの?」と、聞かれて、なかなか答えることができませんよね。私も考えましたが、明確な答えが出てきませんでした。

ある日、お母さんは出産の為、病院に行ってしまい、エリちゃんはおばあちゃんと2人で過ごすことに。とても寒い日が続いていたので、黄色いボタンの5人きょうだいはエリちゃんを寒さからまもります。北風がやんで、お日さまが顔を出した、ある日。あかちゃんを抱っこして、お母さんとお父さんが帰ってきました。エリちゃんもおばあちゃんもとても嬉しくなり、黄色いボタンの5人きょうだいもエリちゃんやおばあちゃん、お母さん、お父さんの会話を聞いていて、嬉しくなってきて心がポカポカしてきます。
私も、妹が生まれて家にやってきた時を思い出して、なんだか心がポカポカと温かくなりました。
黄色いボタンの5人きょうだいは、「はる」がどんなものなのか、少しずつ分かってきました。「はるってなんだか、あたたかい。」「はるってなんだか、いいにおい。」「はるって、心がうれしくなる!」

あなたが感じる「はる」は、なんですか?おいしいもの?目に見えるもの?いい匂いがするもの?
この絵本を読みながら、一緒に「はる」を考えたり、感じてみてはいかがですか?


【1月のおすすめ本】

大人は泣かないと思っていた 
「大人は泣かないと思っていた」

寺地 はるな/著
集英社

九州北部にある田舎町での暮らしを6人の視点で追っていく物語。
小さな集落に住む時田翼は、大酒飲みの父親と二人暮らし。ある日、庭に植えていた柚子が、誰かに盗まれるのを目撃する。犯人捜しをしてみると、なにやら事情のある人が出てきて……?

一章ごとに切り替わる主人公たちは、様々な理由で涙を流す。ある人は息子からの決別の言葉に、ある人は古い気質を変えられない自分に、ある人は娘の家族を思うがための反発に。それぞれの涙の理由は、その人にしか分からないものも多い。

一人称の転換が効果的で、それぞれの立場を受け止められる。読後感もさっぱりとした本。


洋ラン大全

「洋ラン大全」


洋ラン大全編集部/編
誠文堂新光社

近年、贈答品や園芸店で入手しやすいランの定番品種から原種も含めた300種類以上を網羅。
最新の図鑑であり、栽培の指南書でもあり、また洋ラン栽培の文化や興味深いエピソードが語られたちょっとディープな魅力溢れる1冊です。手に取っていただき、いざランの世界へ!


おとうさんの手「おとうさんの手」


まはら三桃/作
長谷川義史/絵
講談社
かおりのお父さんは目が見えません。
しかし、香りや感覚で側に誰がきたのか、足音から分かってしまうのです。
お父さんの仕事は鍼灸師です。淡々と患者さんの施術を行う様子がかおりには不思議で仕方がありません。
さて、どうやってお父さんの不思議を理解するのでしょうか・・
子どもならではの素直な探究心に改めて気づかされることがあるかもしれません。
お父さんの深い愛情と温かい挿絵のやさしい世界観をお楽しみください。


どすこいすしずもう「どすこいすしずもう」


アンマサコ/著
講談社

全国からたくさんのすし力士たちが集まり土俵入りです。
はっけよーいのこった!東は、いかのしん、西は、たこのつぼの対決です。
さて、どんなすもうを見せてくれるのでしょうか?ライバル同士の対決です。
サーモンさくらにイクラまる、海をへだてた遠い親戚同士の対決もありますよ。
力士の特徴を活かした技で真剣勝負です。
他にはどんな力士たちが登場するのでしょうか?
裏表紙見返しには力士たちの出身図が描かれていておもしろいですよ。
あなたの出身県はどんな力士なのでしょうか?楽しみですね。
全体的に淡いタッチのイラストでかわいい力士たちが勢ぞろいです。
ユーモアたっぷりに描かれており、親子で楽しめるオススメの一冊です。


【12月のおすすめ本】

kurisumasuwotannteito「クリスマスを探偵と」


伊坂 幸太郎/文
マヌエーレ・フィオール/絵
河出書房新社

舞台はドイツの小さな町。クリスマスイブの晩、ある人物を尾行していた探偵のカールは、公園でサンドラと名乗る不思議な男に出会います。尾行相手が建物から出てくるのを待つ間、カールはサンドラととりとめのない話に花を咲かせますが、話はやがてクリスマスにまつわる苦い思い出にも及び・・・。

今や人気作家となった作者が、大学時代に初めて書いた小説をもとに、文章をすべて書き直して完成させたという本作。短編ながら、軽やかさやカラリとした明るさ、ちょっとファンタジックな要素など、作者らしさが存分に味わえます。イタリアの漫画家による印象的な挿絵も、物語の世界を生き生きと浮かび上がらせています。

ふたりのささやかな謎解きの先に待つ、幸福などんでん返し。この季節にぴったりの、優しく温かな物語です。  


sugusununndakara「すぐ死ぬんだから」


内館 牧子/著
講談社

“いい歳のとり方をしたい”誰もが一度は願うことではないでしょうか。

常にファッションやメイクに気を配り、自分磨きに余念のない78歳のハナは、「人生で一番よかったのはハナと結婚したこと」が口癖の、自他共に認める愛妻家の夫・岩造と幸せな隠居生活を送る日々。
そんな中、折り紙だけが趣味の真面目な夫だったはずの岩造の急死をさかいに、思いもよらない裏切りが発覚し…。
「すぐ死ぬんだから」。暗くて後ろ向きの言葉に思われがちですが、この小説を読むと良い意味にも悪い意味にも変えるのは自分次第、さまざまな感情や意味が込められていると実感します。
クスッと笑えるハナさんの毒舌や衝撃の展開。痛快ながらもきれいにまとめられ、かっこよくて素敵な『ハナさん』の虜になってしまう小説です。 


issyoninoborou「いっしょにのぼろう」


マリアンヌ・デュブク/作
さかたゆきこ/訳
TAC出版

ちいさな山のふもとにアナグマのおばあさんが暮らしていました。

日曜日には山に登って小鳥とおはなししたり、友達のキツネのためにキノコをとったり、困っている友達を見かければ助けてあげたり・・。

ある日、ねこのぼうやルルと出会い一緒に登ることに。
初めて登るルルは知らないことばかりで、アナグマのおばあさんから知恵や思いやりを学び二人で山に登るようになりました。しかしアナグマのおばあさんは、からだが弱って登れなくなり、一人で登っていると、新しい友達と出会い、誰かの大切な場所へと受け継がれていきます。

流れる時間がとても穏やかで、子どもや大人の方にもおすすめな1冊です。 


「ピアノをきかせて」pianowokikasete


小俣 麦穂/著
講談社

想像の中で、音楽の情景を描き、歌ったり踊ったりすることが好きな響音。
姉の千弦はピアノのレッスンやコンクールで忙しく、付き添いに行く母とも生活がすれ違い気味です。

卒業式でのこと。
響音は、姉のピアノがおかしいと感じます。昔のようないきいきとした楽しさが感じられなかったのです。同じく千弦の変化を感じた父は、ショックを受ける響音のことも心配します。
そんな時、響音は音楽教室の仲間とふるさと文化祭で音楽劇をすることになります。姉の混迷は続いており、コンクールに出た後は、まったくピアノを弾かなくなってしまいます。自分たちの音楽劇を最高のものにして、千弦の心を助けたいと願う響音。もう一度、姉の心に音楽の灯を灯そうとする思いは、やがて家族の絆も取り戻していきます。