図書館職員のおすすめ

【1月のおすすめ本】

百貨の魔法「百貨の魔法」

村山早紀/著
ポプラ社

 

閉店の噂が飛び交う星野百貨店。だが、スタッフたちは店を守ろうと、
今日も売り場に立ちつづける。百貨店で働く人たちと館内に住むと
噂される「白い猫」が織りなす、魔法のような物語、、、。

日々の営みの中で、ふと目にする人・風景・そして人と人とのやり取りを
優しく温かく思いやりながら丁寧に丁寧に見守り務めている百貨店の人々。
思い出の中にある寂しかった事、悲しかった事がスッと消えていくこと、
願いが叶うことは、魔法使いや神様がもたらしてくれる魔法や奇跡なの
でしょうか。
この本に出てくる願い事のなかで私が一番好きなのは『もし誰か、心からの
願い事があるひとがいたら、そのひとの願い事が叶いますように』という
願い事です!
北風冷たいこの季節に心の芯から温めてくれるお話です。

著者の村山早紀さんは長崎県出身の作家です。
この作品は2017年本屋大賞にノミネートされた『桜風堂ものがたり』の
姉妹編です。あわせてご覧ください。


きのう、きょう、あした。

「きのう、きょう、あした。」

つばた英子/著、つばたしゅういち/著
主婦と生活社

 

建築家の津端修一さん90歳と英子さん87歳の日常の映画、
『人生フルーツ』の撮影後、書かれたのが本書です。
建築家であった津端修一さんの没後、何をするにも虚しさを感じていた
英子さんが、本来の前向きな気持ちを取り戻し、暮らしのペースを元通りに
立て直すまでの秋から夏までの1年間を追いかけたものです。
幸せの感じ方は人ぞれぞれですが、“自分の気持ちの張りを支えるもの”は
“誰かにおいしいものを食べてもらうこと”と話す英子さん。
大切な誰かのために何かをしてあげたいと思う気持ちと同時に、毎日が笑顔になれる工夫が感じられます。
生前、ご主人から英子さんへ言われていた「人に依存し過ぎないで、何でも自分で。こつこつやると必ず自分のものになるから。」という言葉を、自分の力で新しい暮らしを切り開く原動力にしている様子に、読了後あたたかく背中を押してもらえ、明日からの活力が湧いてくる1冊です。


寿命図鑑「寿命図鑑」

 

やまぐちかおり/絵、いろは出版/編者
いろは出版

本は350年の寿命で、太陽は100億年の寿命。
飼いネコは20年の寿命だけど、野良ネコは飼いネコより15年も短い寿命。
動物、人、建築物、機械、天体など、13のカテゴリー別に、「生まれてから死ぬまでの時間」、
「発生してから消えていくまでの時間」=寿命について、豆知識も交えて説明した図鑑です。
紹介される対象は、やまぐちかおりさんのキュートな絵で描かれており、
ひとつひとつの説明も130字前後なので読み物としても楽しめます。
昨年大ヒットした『ざんねんないきもの事典』シリーズがお好きな方には、
是非おすすめしたい一冊です。


おならまんざい「おならまんざい」

長谷川義史/著
小学館

 

 

男の子がおならをした後、おならが喋りだした!!
「ぼくとまんざいせえへん?」と、おならとコンビを組むところから物語は始まります。
タイトルにも、始まり方にも、いきなり笑いをそそられます!
次々と繰り広げられる数々のダジャレに、“そんなアホな!”と思わずツッコミをいれたくなる軽快なリズム感が楽しめます。きっとお風呂に入るとき、野菜を食べるとき、思わずダジャレを考えてしまうはず!そして!最後、おならはどうなってしまうのか・・?!
今年も『笑う門には福来る!』
是非ご家族皆さんでたくさん笑って楽しんでいただきたい1冊です!
著者である、長谷川義史氏の他作品、『だじゃれ日本一周』『だじゃれ世界一周』にも、渾身のだじゃれが満載です!


【12月のおすすめ本】

あなたの隣にいる孤独「あなたの隣にいる孤独」

樋口 有介/著
文藝春秋

 

主人公の玲菜は戸籍のない14歳の少女。
「あの人」から逃げるために、出生届けを出さなかった母と、二人で街を転々とする玲菜。
学校に行かず社会とのつながりもないが、母からきちんとした躾を受け、住む町に愛着をもたないこと、他人とは深く関わらないことを自分に言い聞かせている。
普通に憧れ、普通の人間になるために知識を独学で習得する賢い少女で、過酷な環境に身をおきながらも、失望することなく、自分を律して淡々と静かな生活を送り、冷静に自分を受けとめている。
ある日、母は「あの人に見つかった」という電話を最後に、消息を絶つ。
そんな状況の中、リサイクルショップの主人・秋吉と、その孫にあたるのんきな小説家希望
の牧生と知り合い、この不思議な縁で玲菜は助けられ、優しい2人の存在が玲菜の張りつめた心をほぐしてゆく。

身勝手な母親の行方も気になるところですが、秋吉、牧生、玲菜のやりとりが妙にほほえましく、全体的に穏やかな印象で、読みやすくあたたかな余韻が残る作品です。

       


主婦悦子さんの予期せぬ日々「主婦悦子さんの予期せぬ日々」

久田 恵/著
潮出版社

 

『家族って何だと思いますか?』

頼りない定年夫、反対を押し切って結婚したのにシングルマザーになろうとしている娘、いつまでも就職ができないままのパラサイト息子、年老いた母親、突然音信不通となった親友…。と波乱の日々を送る主人公の主婦の悦子さん。

家事も育児も一生懸命やってきたのに、家族は好き勝手ばかりで自分だけないがしろにされた気分に陥る悦子さんは、毎日イライラ。
そんな日々を過ごしていたのに、ちょうど八十歳の母親・妙にできた年下の恋人の秀二が悦子の家族を変えていく。
妙と秀二の「縁」をきっかけに、それぞれが成長し新たな関係を築いていく。

夫にイライラする主婦の気持ち、親を心配する娘の気持ちはもちろん、いくつになっても子供を心配する親の気持ちがあらゆる所にちりばめられており、「家族って誤解で成り立ってるのかもしれない」という言葉がとても心に染みる1冊です。

 

       


サンタさん ありがとう「サンタさん ありがとう -ちいさなクリスマスのものがたり-」

長尾 玲子/著
福音館書店

 

もうすぐクリスマス。しんちゃんはサンタさんへ手紙を書きます。
「いっしょにあそべて、おともだちになってくれるかわいいかわいいくまさんが
ほしいです。ずーっとだいじにします。」
サンタさんはたくさんの子供たちへのプレゼントを用意しながら、うっかりしんちゃんの
分を忘れてしまっていました。あわててくまさんのぬいぐるみを作り、しんちゃんのおともだちになれるよう、くまさんににんげんのことばを教えます。
ことばをおぼえたくまさんは、サンタさんのお手伝いをするうちにサンタさんのことが
大好きになり、ずっとそばにいたいと思うようになります。でも、サンタさんからしんちゃんの手紙を見せられて‥‥。

「ぼく、行かなきゃね」。

サンタさんの優しさ、くまさんのけなげさ、しんちゃんの純粋さに心を打たれます。
すべて刺しゅうで描かれた絵もとてもかわいらしく、子供たちに、そしてお父さん、お母さんにも届けたい、クリスマスにお薦めのとってもあたたかいお話です。

       


041332560000「ねむれないおうさま」

ベンジャミン・エルキン/原作  ザ・キャビンカンパニー/絵 こみや ゆう/訳
瑞雲社

 

昔、広い海と高い山を越えた所にカール王という王さまが住んでいました。
この頃、カール王はなぜかちっとも眠れません。
どうすれば眠ってくれるのか、お城のだいじんたちは話し合い、色々と知恵をしぼります。
その結果、うるさい音を消してしまおう!!ということに・・。
国中のひこうき(ブルブル)きしゃ(ガタゴト)ハチ(ブンブン)あらゆる音の出るものを
なくしてしまいましたが、まだ眠ってくれません。
すると静かになりすぎたお城に、かすかな歌声が聞こえてきます。だいじんは大慌て!!
さて、王さまは眠ることができたのでしょうか?

       


【11月のおすすめ本】

「やばい老人になろう」

さだ まさし/著
PHP研究所

 

どうしたら「ヘン」で「やばい」と言われる「じじい」になれるのか。
これは、長崎県民なら知らない人はいないフォーク・シンガーであり、作家、そして映画監督でもある〝さだ まさし″が目指している自分自身への課題だそう。
そして、その条件は次の三つ。
一、「知識が豊富」
二、「どんな痛みも共有してくれる」
三、「何かひとつスゴイものを持っている」
本書では、この三つの条件を満たしているいわゆる「やばい老人」たちが紹介されている。
その中の一人に、島原市出身の古代史研究家であり作家である故〝宮﨑 康平″とのエピソードも紹介され、他ならぬ島原半島に住む人々の好奇心をそそること間違いなし!
「また会いたい」と思われる「じじい」や「ばばあ」になるために、どう「老人力」を付けていったらよいのか。老人社会を向かえた今、やばい老人たちの武勇伝を、これからの自分の参考のために、読んでみてはいかがだろう。

       


「彩菊あやかし算法帖」

青柳 碧人/著
実業之日本社

 

本作は和算や数学の参考書ではありません。江戸時代という数学の発展していなかった時代に誕生した算法の天才少女の物語です。

常陸国牛敷藩(ひたちのくにうしきはん)の下級武士の娘・車井 彩菊(くるまい あやぎく)。彼女は、幼少のころから算法の才能に秀でており、寺子屋で算法を教えることも・・・。そんな彩菊は、郡奉行(こおりぶぎょう)・木川 生駒(きがわ いこま)から、小埜里(おのさと)村にいる賽目童子(さいのめどうじ)という化物退治を頼まれます。賽目童子とは、村を荒らさない代わりに毎年17歳の娘を生贄(いけにえ)に要求しサイコロ勝負をして、娘が負けたら食べてしまうおそろしい化物です。
はたして彩菊は、算法の才を使って無事に賽目童子を退治することができるのか。
算法をこよなく愛する少女が、化物の出す、確率・幾何学・円周率などの難題に立ち向かいます!

数学と時代小説を掛け合わせたミステリー作品です。数学の好きな方にも、時代小説の好きな方にも、お楽しみいただける一冊です。

       


「ハヤト、ずっといっしょだよ」

井上 こみち/著・平澤 朋子/絵
アリス館

 

この本は、父をとおして馬と出会い、調教師となったマキと、心を閉ざした馬ハヤトの交流を描いた実話です。いつでもハヤトを信じて寄り添い、優しく強く生きるマキの姿はとても清々しいものです。困難にもくじけない明るいマキに数々の幸運がおとずれるのも不思議なものです。そんなマキの気持ちを受け止め変わっていくハヤト。人間と動物のあたたかい絆の物語は読んでいる人をも幸せにしてくれます。

       


「キツネとねがいごと」

カトリーン・シェーラー/作・松永 美穂/絵
西村書店

 

命あるものは必ず死ぬ。だがこの絵本の年老いたキツネはある魔法を利用して「不死」を手に入れました。キツネは「不死」を手にしてどんな人生を送ったのでしょうか?
果して、それは幸せだったのでしょうか?

ある森に年老いたキツネの夫婦が仲良く寄り添って住んでいました。夫婦のリンゴの木には、おいしい匂いに誘われてツグミやウサギやネズミたちがやってきて、一つも残さず食べつくしてしまいます。もうすでに年をとって愚敏になったキツネ夫婦を誰も怖がらなくなったのです。でも、動きは鈍くなってもキツネの頭は良く働きました。
ある日、仕掛けた罠でやせっぽっちの小さなイタチを捕まえました。しかしイタチは
「永遠に続く魔法」と引き換えに命乞いをして逃がしてもらいました。
その魔法とは「きつねのリンゴの木にとまったやつはみんなそこにくっついてしまう・・永遠に!」
この魔法のおかげで夫婦は幸せにくらしていましたが、年は着実に重ね、ある日死神がキツネのもとにやってきてしましました。そこで年老いたキツネはあの「永遠の魔法」を死神に使って死を遠ざけるのですが・・・・。

人生において唯一確かなことといえば、我々はいつか死ぬということ。それは恐怖でもあり、受け入れがたい現実でもあります。しかしこの確かさの上に立って人生を考えれば「死」を受入ることができるかもしれません。