図書館職員のおすすめ

【4月のおすすめ本】

会社を綴る人「会社を綴る人」 

朱野 帰子/著
双葉社

 

主人公の紙屋は、派遣社員歴10年の32歳。光り輝く経歴の両親と兄を持つ落ちこぼれ。唯一の特技は、文章を書くこと。

そんな紙屋がこの春、奇跡的に老舗製粉会社の正社員の職を得る。しかし、配属された総務部では、案の定、注意力散漫で要領が悪く、失敗を繰り返し、同僚には「会社のお荷物」「給料泥棒」とまで言われる始末。

会社には、会社規則から、社史、プレゼン資料、会議録、社内報、社員へ通知文、メールのやり取りに至るまで、おびただしい数の様々な文書が溢れている。文章を書くことしか取り柄のない紙屋は、一つひとつの文書に誠実に向き合い、必死に書き続けるうちに、旧態依然だった中年社員にも少しずつ変化が表れてきた。やがて会社は転換点を迎えることになり、紙屋は重要な文書に関わることに・・・。

不器用ながらも、「文章の力でやっていく!」「真実以外は書かない!」と、決意と信念を持って突き進む主人公に元気をもらえる一冊。新年度がスタートする4月、思いを新たにお仕事に向かう人へおすすめしたい小説です。


学校へ行けない僕と9人の先生「学校へ行けない僕と9人の先生」 

棚園 正一/著
双葉社

あるきっかけから学校へ行けなくなった棚橋君と、彼のもとを訪れる様々な先生たちを描いたコミックです。著者の実際の体験をもとにかかれました。

ドラゴンボールが大好きな小学生棚橋君は、学校へ行けない苦しい日々を送っていました。彼のもとには担任の先生やカウンセラーなど色々な人が訪れるようになります。しかし、上手くいかない学校生活に次第に焦りを募らせていく棚橋君。そんな中で絵を描くことが楽しみとなり、ドラゴンボールの作者、鳥山明先生に憧れを抱きます。そして鳥山先生と会えることになり…。

不登校児への先生や同級生たちの眼差しがリアルで、棚橋君の苦々しい気持ちが伝わってきます。また、彼自身も不登校という負い目からより一層人目を気にし、自分で自分を追い込んでいくのでした。「フツウ」の子にならなきゃと焦る棚橋君の姿は、私たちに「フツウ」でいることってそんなに大事?「フツウ」って一体何なんだ?と問いかけているようです。

不登校というテーマですが、当時ハマっていた遊び、先生たちとの少しギクシャクした交流などがコミカルに描かれていて読みやすいです。不登校克服のための具体策が書かれている訳ではありません。でも、新生活が始まる4月に、棚橋君が感じた世界を、子どもにも大人にも読んで感じて欲しい、そんな一冊です。


星の王子さま「星の王子さま」 

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ/作
倉橋 由美子/訳
宝島社

長い間、世界中の人々から愛され読み継がれてきた「星の王子さま」。

王子さまは、ふるさとの小さな星から逃げ出し、旅をすることにします。王様の星、ビジネスマンの星などたくさんの星を訪ね、旅を続けて7番目に地球という星にやってきました。それは、今までで一番大きな星で、最初に降り立ったのが、アフリカの砂漠でした。

王子さまが地球にやってきて1年になろうかという時、砂漠に不時着した「僕」と出会い、旅の中で今までにあったことについて話をします。王子さまは、蛇や狐と出会い話をしたことで、自分の星に残してきた小さな花が気がかりになり、帰る決心をするのでした。

「大切な物は目には見えない、心の目でみなくちゃ駄目だよ」と静かに語りかける言葉は、心の奥深く響いてきて、とても穏やかな気持ちになります。

子どもに捧げられてはいますが、大人でも十分に考えさせられる味わいのある物語です。新年度になり、新しい出逢いが待っているあなた、いろいろな思いを巡らせながら読んでみてはいかがですか?

「絵本 星の王子さま」 サンテグジュペリ/著 池澤 夏樹/訳 集英社 もおすすめです。


うみのごちそうしろくま「うみのごちそうしろくま」 

柴田 ケイコ/作・絵
PHP研究所

 

食べることが好きすぎて、うみのごちそうの中に入って妄想をくりひろげるくいしんぼうのしろくまくん。
どのページもつっこみどころ満載で、イラストも思わず笑いが出てしまうほどかわいく、期待を裏切らない楽しさです。
子どもから大人まで、シュールで面白いと大人気の「しろくまシリーズ」。想像をかきたてるユーモアいっぱいの絵本になっています。
しろくまくんの妄想はどこまで広がっていくのでしょうか?


【3月のおすすめ本】

ゆきうさぎのお品書き:母と娘のちらし寿司「ゆきうさぎのお品書き:母と娘のちらし寿司」

小湊 悠貴/著
集英社オレンジ文庫

「おいしい」ことは、幸せなこと。「ゆきうさぎ」という小料理屋が舞台の“あったかほっこり物語”です。亡くなった祖母が営んでいた小料理屋「ゆきうさぎ」を再開させた心優しい青年の大樹、あることがきっかけで食が細くなり、のちに、この小料理屋でバイトとして雇ってもらうことになった大学生の碧を中心に、話が繰り広げられていきます。
現在7巻まで出版されていますが、小料理屋が舞台というだけあり、どの巻にも美味しそうな料理が登場します。
巻末には物語にも出てくる〈ゆきうさぎ特製レシピ〉も掲載されています。
「おいしいことは幸せなこと」という言葉がぴったりのこの物語を読んで、心を暖めてみませんか?


ケーキ王子の名推理「ケーキ王子の名推理(スペシャリテ)」

七月 隆文/著
新潮社 (新潮文庫nex)

お菓子こそ、正義だ!
バカがつくほどケーキが大好きな女子高生・未羽は、失恋の悲しみを癒すためにケーキ屋を訪れる。そこにはなんと!学校一のイケメン王子、颯人がパティシエ修行をしていた。
これは新しい恋が…と思いきや、そこはケーキのように甘くはない! 颯人は、『冷酷王子』と噂されているが、噂通り超がつくほど冷たく…。しかし、夢を想う気持ちは誰よりも熱かった!
お菓子大好き未羽ちゃんとケーキに関する知識がスゴイ颯人くんの2人が、他人の恋やトラブルを鮮やかに解決していく青春スペシャリテ。
各章のモチーフになっているお菓子の豆知識も身につき、手軽に楽しめる1冊です。
また続編も現在3巻まで出版されており、恋模様やライバル登場など楽しめる展開になっています。


はじめてのインドアグリーン 選び方と楽しみ方はじめてのインドアグリーン 選び方と楽しみ方」

尾崎 忠・野末 陽平・藤川 史雄/監修
株式会社ナツメ社

インテリアに観葉植物を取り入れるだけで、おしゃれな雰囲気を演出できるのが、インドアグリーンのいちばんの魅力。
省スペースで楽しめる小さなグリーンから、インテリアの主役になる大きなグリーンまで幅広く紹介してあります。
春は植物が成長する季節です。自分の好みやライフスタイルに合った植物をみつけて、グリーンライフを始めてみませんか?


絵本は心のへその緒 赤ちゃんに語りかけるということ「絵本は心のへその緒 赤ちゃんに語りかけるということ」

松居 直/著
NPOブックスタート

皆さん『ブックスタート』ってご存知ですか?
ブックスタートとは、【絵本】を通して赤ちゃんとご家族が楽しく温かい時間をもたれることを願って、絵本をプレゼントするという活動です。
南島原市では、6・7ヶ月の赤ちゃんを対象にブックスタートを行っています。
6ヶ月の赤ちゃんに絵本を読んだり、手遊びを一緒にしたりした後、赤ちゃんの好きな絵本を選んでもらっています。赤ちゃんの反応がすごく良くて、参加している周りの大人も笑顔になってしまいます。
紹介するこの本には、〈絵本を一緒に読むことで、大人が豊かな言葉を語りかけ生活そのものを豊かにすることが大切〉とあります。育児で毎日忙しいかと思いますが、一日少しだけでも赤ちゃんと絵本を読んでお母さんもゆったりとした時間をすごしてほしいと願って、この本をおすすめ本に選びました。


【2月のおすすめ本】

yorunogawanitatsu

「夜の側に立つ」


小野寺 史宜/著
新潮社

2006年「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール読物新賞を受賞。
2008年「ROKER」で第3回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し作家デビュー。
2019年本屋大賞に前作「ひと」がノミネート。
「夜の側(がわ)に立つ」は20作品目となります。

高校3年生でバンドを組んだ5人。
主人公・野本了治、生徒会長・榊信明、副会長・荻原昌子、元バスケ部員・辰巳壮介、吹奏楽部の花形・小出君香。
それぞれスター性を持った男女が集まったバンドでした。
学園ではそれまで、ライブの開催はできなかったのですが、信明の先生への説得で初めて許可されました。

主人公の了治の40代を軸に、現在と過去を行ったり来たりしながら話が展開されているのが特徴的になっていると思います。
39歳の悲しい出来事から始まり、すぐに18歳へと話が転回していくので読みにくいのかと思ったら、現在と過去を行ったり来たりしながらすんなりと話に引き込まれていきます。

了治は、ずっと好きだったメンバーの君香から突然告白されたのに、「自信がない」と断ってしまいます。
お互いにスター性を認めているのに、どうしてそこまで自己評価が低いのか分かる場面もかなり衝撃的です。

了治が過ごしてきたその年代のエピソードに共感するところもあり、登場人物が複雑な絡み合いをしていて想像できない展開にハラハラ、ドキドキします。
青春を忘れかけている年代の人におすすめの1冊です。


satouhatsumemonogatari

「佐藤初女物語‐おむすびに心をこめて‐」


あんず ゆき/著
PHP研究所

おむすびは、みんなを笑顔にする!
食べることの大切さに気づき、おむすびを通して悩める人たちの心を開いていった佐藤初女さん。
本の冒頭に「ごはんひとつぶ、ひとつぶが呼吸できるように、むすんでくださいね」とあります。初女さんがおむすびをむすぶときに一番大切にしていたことだそうです。
お米にも野菜にもいのちがあると考えていました。初女さんの真心が伝わってくると思いました。
そして、初女さんはご主人から「鉄は鉄で磨かれる。人は人で磨かれる。人の中に出ないと成長しないからどんどん出たらいいんだよ。」この励ましのお蔭で初女さんは、ろうけつ染めを習い始め、自宅で工房を開きます。
たくさんの人が、自宅に集まり始め、まわりの人の相談にのったり、食べ物を分け与えたりしました。
初女さんは、敬虔なカトリック信者ですが、信仰を勧めるわけでなく、~たとえば山の頂上を目指す時、道はいくつもある。どの道を選ぶのかは人それぞれで、信仰もそれと同じ~だと思っていました。そして「苦しいときはとどまらず、動きなさい」初女さんはよくそう言いました。
そして、「どうしよう、どうしようと思うときは待つことです。あわてないで物事をしっかり見ていると、ちゃんと道が開けてきます。あなたがいる場所であなたができることをしてください。」
そんな初女さんは、2016年(平成28年)2月1日、94歳でこの世を去る日まで、生涯を社会の人々に奉仕の心を持って仕え、人のことを思って生き抜いた女性でした。
この本は、「佐藤初女」その生涯を写真も交えてやさしく紹介してあります。児童書ですが大人の方にも読んで欲しい、とても優しい気持ちにしてくれる一冊です。


zerotore

「ゼロトレ」


石村 友見/著
サンマーク出版

最近、メディアでも話題の本です。
加齢とともに首、肩、背中、腰、足指などは縮んだり、ゆがんだりしながら関節や筋肉がカチコチにかたまり本来の動きができなくなります。
こうして体は老化し、太りやすくなるそうです。
思い当たる点が、おおいにあって、納得できますよね。
「ゼロトレ」は、各部位が本来あるべき元のポジション(本書では「ゼロポジション」と言っています)に戻すことで、体形をよくし、体重を減らし、不調までも改善していく、画期的なダイエット法ということです。
その場で、寝た姿勢でできるため、何歳からでもできます。
実際にダイエットに成功できたら、万々歳ですね。少し丸くなってきていた背中や、
伸びにくかった腰が伸びて、姿勢が良くなるだけでも、印象が変わります。
私も少しチャレンジしてみました。ダイエットは?ですが、真上に真っ直ぐ伸びなかった両腕が、伸びるようになり肩甲骨が柔らかくなった気がします。
「ゼロトレ」のやり方が、写真でわかりやすく解説してあり、身長を一瞬で伸ばすゼロトレも紹介されています。「羽が生えたように軽くなる」という、この「ゼロトレ」一度読んでみませんか?


haruttedonnamono

「はるって、どんなもの?」


あさの ますみ/作 荒井 良二/絵
小学館

この絵本の絵のかわいさに思わず手に取りました。また、荒井良二さんの作品ということもあって、とても興味が湧きました。
この絵本に出てくる小さな女の子「エリちゃん」。エリちゃんは黄色いボタンが5つついた毛糸のカーディガンがお気に入り。黄色いボタンの5人きょうだいは、冬の時期しか出番がないため、「はる」がどんなものなのかわかりません。冬の寒いある日、エリちゃんが『もうすぐはるだね。』と言います。そこで、黄色いボタンの5人きょうだいは「はる」がどんなものなのか考えます。「はるって、温かいカーディガンのことかな?」「はるっておいしい匂いがするホットケーキかな?」と、色んな意見を出し合いますが、それでも「はる」がどんなものなのか、わかりません。「はるって、どんなもの?」と、聞かれて、なかなか答えることができませんよね。私も考えましたが、明確な答えが出てきませんでした。

ある日、お母さんは出産の為、病院に行ってしまい、エリちゃんはおばあちゃんと2人で過ごすことに。とても寒い日が続いていたので、黄色いボタンの5人きょうだいはエリちゃんを寒さからまもります。北風がやんで、お日さまが顔を出した、ある日。あかちゃんを抱っこして、お母さんとお父さんが帰ってきました。エリちゃんもおばあちゃんもとても嬉しくなり、黄色いボタンの5人きょうだいもエリちゃんやおばあちゃん、お母さん、お父さんの会話を聞いていて、嬉しくなってきて心がポカポカしてきます。
私も、妹が生まれて家にやってきた時を思い出して、なんだか心がポカポカと温かくなりました。
黄色いボタンの5人きょうだいは、「はる」がどんなものなのか、少しずつ分かってきました。「はるってなんだか、あたたかい。」「はるってなんだか、いいにおい。」「はるって、心がうれしくなる!」

あなたが感じる「はる」は、なんですか?おいしいもの?目に見えるもの?いい匂いがするもの?
この絵本を読みながら、一緒に「はる」を考えたり、感じてみてはいかがですか?