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本の紹介
図書館職員おすすめ
2024年3月
おあとがよろしいようで
喜多川 泰/著
幻冬舎
幻冬舎
「人は皆、出会ったものでできている。」
大学進学を機に上京した、金も夢も友もない暖平。入学式に来たものの、誰にも声をかけることができず構内を歩き回っていると、目に入ってきたのは台の上の着物姿の男。男の言葉に暖平は自分が呼びかけられたと思ったが、始まったのは落語だった。
入学式後、暖平は一人暮らしに必要なこたつを買いに出かけ、かついで家に帰ろうとしたが、帰宅ラッシュで電車に乗り込むことが出来ずに困っていた。その時、声をかけてきたのが入学式の時に出会った着物姿の男、落語研究会の部長・碧だった。
この碧との出会いをきっかけに、落語や仲間と出会い、暖平の人生は大きく動いていく…。
主人公の暖平と同じく新生活を始めた人や落語を聞いたことがない人におすすめしたい、これからの人生を応援してくれる作品です。
大学進学を機に上京した、金も夢も友もない暖平。入学式に来たものの、誰にも声をかけることができず構内を歩き回っていると、目に入ってきたのは台の上の着物姿の男。男の言葉に暖平は自分が呼びかけられたと思ったが、始まったのは落語だった。
入学式後、暖平は一人暮らしに必要なこたつを買いに出かけ、かついで家に帰ろうとしたが、帰宅ラッシュで電車に乗り込むことが出来ずに困っていた。その時、声をかけてきたのが入学式の時に出会った着物姿の男、落語研究会の部長・碧だった。
この碧との出会いをきっかけに、落語や仲間と出会い、暖平の人生は大きく動いていく…。
主人公の暖平と同じく新生活を始めた人や落語を聞いたことがない人におすすめしたい、これからの人生を応援してくれる作品です。
きみの知らない十二ケ月目の花言葉
いぬじゅん/著 櫻 いいよ/著
スターツ出版
スターツ出版
君との恋は、儚くて幸せで、偶然で必然だった。本当に大好きで、君との恋が永遠に続くと思っていた…。
廃部間近の園芸部で出会った僕と風花。花が咲くように柔らかく笑う君に、「アネモネの花言葉を知ってる?」と声をかけたのは、きっと運命だった。春夏秋と季節は巡り、僕らは恋に落ちる。
1秒1分1時間、時間が許す限り一緒にいたい。僕らは幸せだった。けれど、その幸せは長くは続かなかった…。「ねぇ、アネモネの花言葉を知ってる?」悲恋の結末には、とある秘密が隠されていた。
男女の視点を交互に描く、感動と希望に満ち溢れた純愛小説。
隠された秘密に気づいたとき、あなたはきっと涙します。
廃部間近の園芸部で出会った僕と風花。花が咲くように柔らかく笑う君に、「アネモネの花言葉を知ってる?」と声をかけたのは、きっと運命だった。春夏秋と季節は巡り、僕らは恋に落ちる。
1秒1分1時間、時間が許す限り一緒にいたい。僕らは幸せだった。けれど、その幸せは長くは続かなかった…。「ねぇ、アネモネの花言葉を知ってる?」悲恋の結末には、とある秘密が隠されていた。
男女の視点を交互に描く、感動と希望に満ち溢れた純愛小説。
隠された秘密に気づいたとき、あなたはきっと涙します。
じかんをまもれなかったクマのはなし
ジャン=リュック・フロマンタル/ぶん ジョエル・ジョリヴェ/え しみず れいな/やく
河出書房新社
河出書房新社
「ちこくするよ!」「またバスにのりおくれちゃった」「宿題また忘れたの?」と、トラブルだらけのクマ。いつもクマはまわりの人を巻き込んでいろいろな事件を起こします。
そこでクマの世話をしている“パパ”が、時計のよみ方を教えることに。
さて、クマの驚きの変化とは!?
もちろん人にとって「時間を守る」ことは大切なことです。一方、限りある時間をどう効果的に使うかを求めるあまり忙しさが増してしまい、現代人は心にゆとりを持つことができているでしょうか。「時は金なり」とは、「時間はお金と同じように価値があるから、無駄遣いしてはいけない」というベンジャミン・フランクリン(アメリカの政治家)の言葉です。
「最近イライラしているな」と思ったら、この本を親子で開いてみてください。愛嬌たっぷりのクマから、時間の使い方を考えるきっかけがもらえる絵本になるでしょう。
そこでクマの世話をしている“パパ”が、時計のよみ方を教えることに。
さて、クマの驚きの変化とは!?
もちろん人にとって「時間を守る」ことは大切なことです。一方、限りある時間をどう効果的に使うかを求めるあまり忙しさが増してしまい、現代人は心にゆとりを持つことができているでしょうか。「時は金なり」とは、「時間はお金と同じように価値があるから、無駄遣いしてはいけない」というベンジャミン・フランクリン(アメリカの政治家)の言葉です。
「最近イライラしているな」と思ったら、この本を親子で開いてみてください。愛嬌たっぷりのクマから、時間の使い方を考えるきっかけがもらえる絵本になるでしょう。
小島よしおのボクといっしょに考えよう
小島 よしお/著
朝日新聞出版
朝日新聞出版
「どうしたらいいのか、わからない…」日常の悩みを抱える小学生22人に、優しく寄り添い回答する、お笑い芸人・小島よしおのお悩み相談エッセイ。
「いじめられている子を、助けたいのに助けられない」「先生が平等に褒めてくれないのは、なんで?」「勉強を好きになるには、どうすればいい?」など、子ども達には悩みがいっぱいです。そんな悩める小学生1人1人に、「そんな風に思っていたんだね」「そんな風に考えられる君はステキだね」と寄り添い、自分が思う解決案を提案し、けれど押し付けることはせず、必ず「ボクはこう思うけど、君はどうかな?」という問いかけで終わります。いろんな人の意見を聞いて、自分でどうするのがいいのか考えることが大事ということを伝え、大人には“寄り添いながら聞く”ということはこういうことなんだと考えさせる1冊です。
小学生向けですが、親子で読んでみるのもいいかもしれませんね。
「いじめられている子を、助けたいのに助けられない」「先生が平等に褒めてくれないのは、なんで?」「勉強を好きになるには、どうすればいい?」など、子ども達には悩みがいっぱいです。そんな悩める小学生1人1人に、「そんな風に思っていたんだね」「そんな風に考えられる君はステキだね」と寄り添い、自分が思う解決案を提案し、けれど押し付けることはせず、必ず「ボクはこう思うけど、君はどうかな?」という問いかけで終わります。いろんな人の意見を聞いて、自分でどうするのがいいのか考えることが大事ということを伝え、大人には“寄り添いながら聞く”ということはこういうことなんだと考えさせる1冊です。
小学生向けですが、親子で読んでみるのもいいかもしれませんね。
2024年2月
藍色時刻の君たちは
前川 ほまれ/著 かない/装画 アルビレオ/装幀
東京創元社
東京創元社
統合失調症の母を支える高校生の小羽は、日々の家事や母の世話に苦労しながら祖父と母と三人で暮らしている。そんな小羽を理解してくれるのは、双極性障害の祖母の世話をする航平と、アルコール依存症の母と幼い弟を支える凛子だけ。ある日、小羽の祖父が脳卒中で倒れてしまうが、青葉という女性が現れて小羽と母の助けとなってくれる。青葉との出会いで、ヤングケアラーと呼ばれる彼らは少しずつ明るくなっていくが、2011年3月の震災によってすべてが変わってしまう。
10年後、看護師となった小羽は、震災の記憶を忘れられずにいた。そんな中、小羽は旧友と会うことになり…?
ヤングケアラーであるために、自分たちが家族を支えなければならないと視野狭窄に陥った彼らが、自身の人生を振り返り、明るい未来に踏み出すための物語。
10年後、看護師となった小羽は、震災の記憶を忘れられずにいた。そんな中、小羽は旧友と会うことになり…?
ヤングケアラーであるために、自分たちが家族を支えなければならないと視野狭窄に陥った彼らが、自身の人生を振り返り、明るい未来に踏み出すための物語。
私のおいしい味噌汁
有賀 薫/著
新星出版社
新星出版社
寒い日の食卓には、あたたかい味噌汁があると嬉しいですよね。
この本には、スープ作家・有賀薫さんが長年味噌汁を作り続ける中での気づきや工夫、家族とのエピソードがレシピといっしょに綴られています。
「我が家の定番と同じ」というものから、意外な食材や調味料のちょい足しアレンジもあり、バリエーションも広がりそうです。これから新生活を始められる方には、手軽に作れておかずにもなるレシピもあるのでおすすめです。
家庭の味だからこそ、あまり人に聞くことのない素朴な疑問にも答えてくれますよ。
残り物でも、ちょっとずぼらでもOKな気軽さが嬉しい、心も体もあたたまる1冊です。
この本には、スープ作家・有賀薫さんが長年味噌汁を作り続ける中での気づきや工夫、家族とのエピソードがレシピといっしょに綴られています。
「我が家の定番と同じ」というものから、意外な食材や調味料のちょい足しアレンジもあり、バリエーションも広がりそうです。これから新生活を始められる方には、手軽に作れておかずにもなるレシピもあるのでおすすめです。
家庭の味だからこそ、あまり人に聞くことのない素朴な疑問にも答えてくれますよ。
残り物でも、ちょっとずぼらでもOKな気軽さが嬉しい、心も体もあたたまる1冊です。
エスカレーターとエレベーター
小輪瀬 護安/さく
福音館書店
福音館書店
おかあさんとデパートに買い物にやって来たさんたろうくんのお話を通じて、エスカレーターとエレベーターのことを学べる科学絵本です。
動く階段のようなエスカレーターと、ボタンを押すだけで別の階へと移動できるエレベーターは、子どもたちにとって、ちょっと怖くて不思議な乗り物かもしれません。
大人でも意外と知らない2つの構造の違いをわかりやすく描いた図は、そんな思いを好奇心へと変えてくれそうです。
安全に乗るためのルールやマナーを楽しく身に付け、親子でエスカレーターやエレベーターに乗りに出かけてみてはどうでしょうか?
動く階段のようなエスカレーターと、ボタンを押すだけで別の階へと移動できるエレベーターは、子どもたちにとって、ちょっと怖くて不思議な乗り物かもしれません。
大人でも意外と知らない2つの構造の違いをわかりやすく描いた図は、そんな思いを好奇心へと変えてくれそうです。
安全に乗るためのルールやマナーを楽しく身に付け、親子でエスカレーターやエレベーターに乗りに出かけてみてはどうでしょうか?
AIマスクはいかがですか?
赤羽 じゅんこ/作 たんじ あきこ/絵
フレーベル館
フレーベル館
AIは私たちの生活に身近なものとなってきました。
小学校4年生のリナには、マスクを着けて話すと声が小さくなってしまう悩みがあります。
そんな時、公園でマスクを売るピエロに出会います。その名も高性能な“ハキハキマスク”。半信半疑で買ったハキハキマスクを着けると、不思議なことを体感できるようになりますが…。
この本は、小学生の悩みをAIマスクの力で解決する4つのオムニバス・ストーリーで構成されています。悩みにぴたりと合うマスクには、子どもたちの素直な憧れが詰まっているかのようです。しかし、それと同時に便利さと豊かさは異なることに気付き、もっと周りの人の温かさを見つけたくなる作品です。
小学校4年生のリナには、マスクを着けて話すと声が小さくなってしまう悩みがあります。
そんな時、公園でマスクを売るピエロに出会います。その名も高性能な“ハキハキマスク”。半信半疑で買ったハキハキマスクを着けると、不思議なことを体感できるようになりますが…。
この本は、小学生の悩みをAIマスクの力で解決する4つのオムニバス・ストーリーで構成されています。悩みにぴたりと合うマスクには、子どもたちの素直な憧れが詰まっているかのようです。しかし、それと同時に便利さと豊かさは異なることに気付き、もっと周りの人の温かさを見つけたくなる作品です。
2024年1月
椿ノ恋文
小川 糸/著
幻冬舎
幻冬舎
鎌倉で営んでいる「ツバキ文具店」、その店主「ポッポちゃん」こと雨宮鳩子さん。お話はポッポちゃんが妊娠・出産・育児を経て代書業を再開するところから始まります。代書の依頼は様々ですが、ポッポちゃんが依頼人に寄り添い代書した手紙は、些細なことではあるけれど大きな問題になりそうになったり、大切な人を大切に思いすぎての心のすれ違いなどを良い方向に向かわせてくれたりします。そして活字ではない直筆の手紙は私たちの目にも語りかけてくれ、いつか私も伝えたい人に伝えたい時に迷わず感謝の手紙を書きたいと思いました。
この作品は小川糸さんの『ツバキ文具店』・続編『キラキラ共和国』に続くシリーズ第3作です。前作・前々作で登場する、ポッポちゃんを厳しくもたくさんの慈愛で育ててくれたツバキ文具店先代(祖母)の秘密がひもとかれます。また反抗期となった娘のQPちゃんとは……。
本をめくるとまず鎌倉案内図と今回ポッポちゃんが訪れる伊豆大島案内図があります。主人公と一緒に鎌倉、伊豆大島を分かりやすく散策できそうです。
この作品は小川糸さんの『ツバキ文具店』・続編『キラキラ共和国』に続くシリーズ第3作です。前作・前々作で登場する、ポッポちゃんを厳しくもたくさんの慈愛で育ててくれたツバキ文具店先代(祖母)の秘密がひもとかれます。また反抗期となった娘のQPちゃんとは……。
本をめくるとまず鎌倉案内図と今回ポッポちゃんが訪れる伊豆大島案内図があります。主人公と一緒に鎌倉、伊豆大島を分かりやすく散策できそうです。
54歳おひとりさま。古い団地で見つけた私らしい暮らし
きんの/著
扶桑社
扶桑社
37歳で離婚。
老後の安心を求めてマンションを購入したのも束の間、母の介護をきっかけに、新築で購入した都内のマンションを手放し、築50年越えの団地に引っ越しを決意。
母の介護をしながら、自身も老後のために少し早めの老い支度を始め“ここに来てよかった”と思うための団地リノベーションを開始。月12万円で年金生活の予習を初めて、食事は節約しつつも“おたのしみ”を大切に。
52歳で国家試験に挑戦し介護福祉士として働くようになり、そこで分かった高齢の親との付き合い方、70代、80代のために今できることを実践。
基準はいつも自分のものさしで計り、迷ったときは自分の直感を信じるなど。これからの暮らしを豊かにするためのヒントが詰まった一冊です。
老後の安心を求めてマンションを購入したのも束の間、母の介護をきっかけに、新築で購入した都内のマンションを手放し、築50年越えの団地に引っ越しを決意。
母の介護をしながら、自身も老後のために少し早めの老い支度を始め“ここに来てよかった”と思うための団地リノベーションを開始。月12万円で年金生活の予習を初めて、食事は節約しつつも“おたのしみ”を大切に。
52歳で国家試験に挑戦し介護福祉士として働くようになり、そこで分かった高齢の親との付き合い方、70代、80代のために今できることを実践。
基準はいつも自分のものさしで計り、迷ったときは自分の直感を信じるなど。これからの暮らしを豊かにするためのヒントが詰まった一冊です。
どすこいみいちゃんパンやさん
町田 尚子/作
ほるぷ出版
ほるぷ出版
パンやのみいちゃんの、朝の開店準備中の日常を描いた絵本。
みいちゃんは忙しく働いているのだけれど、読んでいる私たちは、みいちゃんのぽっちゃりボディやかわいらしい手、ネコあるあるな表情にいやされます。
よく見ると、みいちゃんの耳はサクラカットがされていて、地域ネコであることが分かります。ふくよかだから元地域ネコかなと想像したり。どの場面のネコもとてもていねいにいきいきと描かれていて、著者町田尚子さんの愛情を感じます。
リズミカルな文章と迫力のある絵に引き込まれて、大人も子どもも楽しめます。
ちびっこしましま3きょうだいとのとりくみにも注目です。
みいちゃんは忙しく働いているのだけれど、読んでいる私たちは、みいちゃんのぽっちゃりボディやかわいらしい手、ネコあるあるな表情にいやされます。
よく見ると、みいちゃんの耳はサクラカットがされていて、地域ネコであることが分かります。ふくよかだから元地域ネコかなと想像したり。どの場面のネコもとてもていねいにいきいきと描かれていて、著者町田尚子さんの愛情を感じます。
リズミカルな文章と迫力のある絵に引き込まれて、大人も子どもも楽しめます。
ちびっこしましま3きょうだいとのとりくみにも注目です。
どろぼうがないた
杉川 としひろ/作 ふくだ じゅんこ/絵
冨山房インターナショナル
冨山房インターナショナル
あるところにどろぼうがいた。ある日どろぼうが、ある家に盗みに入り、持ち帰った物。それは、小さな箱にはいった小さな鉢。
どろぼうは、その小さな鉢との出会いで生き方が変わっていきます。
その鉢から芽が出て、少しずつ生長していきます。どろぼうは、その植物の生長に生きがいを見出し、いつかその植物の花の絵を描くことを夢見て、畑で野菜を作り、人々にその野菜を売って喜ばれて暮らしていました。
心満たすもの、それが何かに気づいて。
しかし……最後にどろぼうは泣いた。どうして、どろぼうが泣いたのか。
人の心の「善と悪」、世の中の「争いと平穏」を改めて考えさせてくれる絵本です。
また、絵も雰囲気があり素晴らしく、ちょっと変化ある画面構成など、とても良い絵本です。是非、手に取って読んでいただければと思います。
どろぼうは、その小さな鉢との出会いで生き方が変わっていきます。
その鉢から芽が出て、少しずつ生長していきます。どろぼうは、その植物の生長に生きがいを見出し、いつかその植物の花の絵を描くことを夢見て、畑で野菜を作り、人々にその野菜を売って喜ばれて暮らしていました。
心満たすもの、それが何かに気づいて。
しかし……最後にどろぼうは泣いた。どうして、どろぼうが泣いたのか。
人の心の「善と悪」、世の中の「争いと平穏」を改めて考えさせてくれる絵本です。
また、絵も雰囲気があり素晴らしく、ちょっと変化ある画面構成など、とても良い絵本です。是非、手に取って読んでいただければと思います。